堀 光生校長先生

 「この治療で改善がみられなければ、もうだめですね。」・・・患者を鞭打つがごとき心無い
医者の言葉に、立ち直る気力さえ奪われた話の件(くだり)は、深い同情と怒りを覚えずには
いられなかった。医は仁術なり。弱き者の心を救えずして、何の医術と言えようか・・・。
 急に症状が悪化し入院を余儀なくされた噂を耳にし、11月17日夕刻、入院先を見舞った。
病棟詰所で外泊している旨を告げられ、症状改善に期待して病院を後にした。訃報を受けた
のは、その4日後であった。・・・合掌
 数年前、ある医療関係者が、「近代医学は、死なないための知識と技術を蓄積しただけで、
『生きる力』に対しては、まだまだ無力・・・。」と述べたことを、改めて考えさせられた。
 過日、某放送局の時論解説番組で解説者が述べていた通り、重箱の隅をつつくような大学
入学試験を変えていかない限り、前述のような医者が無くならないであろう。教育も然り。
子供たちの心に寄り添った教育の重さを、今一度噛み締めたい。
 先日、道徳教育の一環として本校で「全校教育講演会」を開催した。講師は、野村輝之氏、
海洋アドバイザー。元札幌市役所勤務。剣道教士六段。44歳の時、札幌市役所早期退職を
決意し家族(妻・小4長女・4歳長男)を伴い、ヨットで5年間に及ぶ世界一周の航海に挑戦した。
我が子を寄航先の学校で学ばせ、剣道教授を生活の糧としながら、「命がけの航海に挑んだ
生き方」は、生徒のみならず私たちも「世界の中の日本・地球環境・人間関係のもろさ」などに
ついて考える貴重な学びの機会となった。

師走も残り僅かとなり年の瀬も押し迫ってきました。行く年を振り返り、来る年にささやかな夢を
抱いて新年を迎えたいと思います。子供たちにも、そんな冬休みを過ごして欲しいと願っています。

 去る11月21日、20年来深い誼(よしみ)の続いていた友人が
亡くなった。享年54歳。病名は肝臓癌。闘病生活が始まってか
ら僅か1年6ヶ月。あまりにも早すぎる死であった。約1時間、途
切れることなく私に話しかけてきた声が、今でも鮮やかに蘇って
くる。
 転移した話→抗がん剤の副作用の辛さ、食事が美味しく食べ
られないせつなさ→以前の入院先の某医者との確執→今の
治療法を選択するに至った経緯→仕事が満足に出来ないこと
に対する心の葛藤等など・話は尽きることなく続いた。病状の
改善に望みを託して、様々な治療法に挑戦している姿に心打
たれた。

“生き方”について考える〜“知人の死・VS・“ヨットで世界一周”

上士幌中学校で仕事をしている青木さんから学校通信「白樺」が毎月送られてきます。
1ページ目に何時も堀光生校長先生が書かれ、それを読むのを私は楽しみにしています。
今月のを紹介します。

カニシャコバサボテン
  photo Fukushima

2007.12.27

「白 樺」から・・・

学校通信No.8・・・H19.12.25 発行:上士幌町立上士幌中学校